第1回 LesBiGay プライドマーチ in 札幌

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札幌は楽しかった!

by ヒッピー

 今回の札幌のパレードは、東京のパレードとは異なり、日本でおそらく初めて「男のバイセクシュアル」を含んだ形で公然と対外的に打ち出された企画です。バイセクシュアルという言葉の持つ自己矛盾と、バイセクシュアルの顕在化の困難さに悩む日比野としては行かないわけにはいきません。(レズビゲイとはLesBiGayのことで、レズビアン・バイセクシュアル・ゲイの総称として、「レズビアン・ゲイ」に換わって欧米で使われだした言葉です。)しかも札幌には、昔からの友人達(「バイセクシュアル?」の男女)が一緒に住んでいたり、バイとしてカムアウトしている非常に数少ない男の1人である田中直樹さんも住んでいます。これは何かできるのではないか!と期待して、出かけてきました。
 私の話をすれば、バイのグループを作りたいわけでも、バイリブをしたいわけでもありません。しかし、私の周りの人たちが、結局のところバイのことには(というより日比野のことには?)興味がないという風に私に感じられることが最近続いていました。ゲイのコミュニティーの中で、「私たちはみんな同じ仲間」みたいな予定調和の仲間意識を無前提に押しつけられて、「私」と「あなた」の間にある違いが覆い隠されてしまう感じを受けることがあったりします。ことは話題やノリ(の優先順位)といった、場の存在の水面下の力関係に関わることだからこそ、話しがシビヤなのよね。「あなたは、今、まず、誰とどんな話しをしたいのか?」。排除しないで、と頼んでいるのでも、許容して、と言っているのでもないのです。
 また、コミュニティーにはどうもまっとうな市民社会の文化が蔓延しすぎているという不満が最近は私のなかに鬱積してきていたようで、以前のように(つまりコミュニティーに関わる前のように)私が社会のなかで生きていくときに感じるたくさんの嫌なこと不自由なことのなかの1つとしてセクシュアリティーについて考えていきたいと思っていたところでした。(セクシュアリティーことこそがことさら問題なのではなく、それは様々な問題のなかのone of themでしかない!例えばこの前、がらがらのバスのなかで弁当を食べていたら運転手がわざわざやってきて「車内で食べるな。そんなのは常識だ」などと言いがかりをつけてきた。そんなえらそうな運転手のうっとうしさーーほかにも、地下街には座って休むベンチがない、地べたに座ると警備員がやってくるとか、原発や軍隊などには国家がばく大な無駄金をつぎ込むくせに本来タダであるべき電車などの公共交通機関に私が乗るのには高いお金がかかるとか、常雇い労働者だけを過度に優遇する制度とか、警察が私の許可を得ずに勝手に私の車をレッカー移動しておいてそのレッカー移動代をとられるとかーーそういう様々なうっとうしいことの一つとして、社会に蔓延するヘテロセクシズム・ホモフォビアの問題があるに過ぎない)。
 というわけで、今年の私のテーマは「バイセクシュアルとクイアー」ってことにしようと思っていました。(プロジェクトPの冊子「現代京都における変態生活者の実態と棲息状況について(抄)」の作成にも、私はこのスタンスで関わっています)
 というような状況に私は居たのですが、まさにそのような意味で、今回の札幌行きは抜群のタイミングでした。自分と近い、もしくは共通したところが多い、と、いっときであれ感じることのできる人たちと一緒に過ごすのは、確かに楽しくていいね、というのがまず第1の感想です。
 今回のパレードに引きつけて書くなら、まずバイとしてのオープンな表現ができたのがうれしかった。私たちは、「私たちは誇り高きバイセクシュアル」「無理に『レズビアン』や『ゲイ』を名乗る必要はない」「ヘテロだけ、ゲイだけ、レズビアンだけ、◯◯だけ、はもうたくさん」「バイはレズビアン・ゲイとヘテロの中間ではない」「女!男!うんざりだ」といった大きなプラカードを掲げて歩きました。ゲイリブの文脈では見たことのないスローガンもあるでしょ!アメリカ合州国でのレズビアン・ゲイ・パレードで、バイセクシュアルのグループがプラカードを男女のペアで持っていたのが友人達の記憶に残っていたようで、まねしてみました。レズビアン・ゲイのコミュニティーの中で、バイセクシュアルの存在をアピールするにはいい方法でしょ!先頭の街宣車でがんばってがなっていた高松君が、私たちのスローガンをマイクで読み上げてくれたのはうれしかった。バイの話しなんて実際には無視されるんじゃないかと、はじめは実は不安があったのよ。それから、ぼくは「パレードは警察の指揮に従って整然と歩くものだ」などとは間違っても思っていない。一緒にプラカードを持ってくれた人もそういう窮屈なデモは嫌いなようで、いっしょに反対車線を走り回ったり、中央分離帯に上ったりと好きに派手に動き回れたわ。そうよこれがデモよパレードよ!デモは暴動の前段階よ!(1000年先?)
 あと、車を出したんだけど、「じゃがたら」やフォルクローレやサンバ、戸川純、浅川まきなどハウス以外の音楽をかけることができてよかった。例えばクラブでハウス・ミュージックを聴いて踊って楽しむのはそれはそれでいいのですが、ゲイといえばハウス、クイアーといえばハウスみたいなのが当たり前なのは、まっぴらごめん。
 パレードに参加した人の反応もかなりよく、楽しむことができました。堂々と「バイ」を掲げた分だけ「本当はレズビアン/ゲイなのに逃げてバイを名乗ってるんじゃない?」などといった中傷は全くなかった。それどころか、「ウイミィンズ・バイ・ネット(女性のバイのグループ)」の平山さんや「アニース(テラ出版からでている♀♀情報誌)」の萩原さん他何人ものバイの人とお話しすることができて、うれしかった。前から話してみたかった人たちなのよね。しか〜し!男のバイが少ない!
 あと、実行委員会の皆様、お疲れさまでした。準備を手伝いもせず当日だけの参加だったけど、いい出会いもあったし楽しませてもらって本当に感謝しています。「普通である必要はない」ってことをもちゃんと考えられていて、居心地もいいパレードでした。ありがとう。

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写真集(Photos)

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car-2.GIF      先頭の宣伝車
proud-2.GIF  「私たちは誇り高き『バイセクシュアル』」
tyuukan-2.GIF  「バイは、レズビアン・ゲイとヘテロの中間ではない」
murini-2.GIF  「無理に『レズビアン』や『ゲイ』を名乗る必要はない」
womyns-2.GIF  ウィメンズの人たち
rainbow-2.GIF  巨大なレインボーフラッグ

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