「トランスジェンダーは私たちの仲間です」

 先日の「第1回京都トランスジェンダー映画祭」で「男子であること」という映画の上映の後、遠藤まめたさんとのトークをやりました。その時のやりとりの映像をakaboshiさんが自分のブログ(YouTubeも)に載せてくれています。

トランスって?01●京都トランスジェンダー映画祭01●
「わからないこと」「揺らぐこと」を面白がりながら繋がろう。

(akaboshiさん)

 せっかくなので、その時のお話しの補足です。
 映画「男子であること」の冒頭のシーンで、「トランスジェンダーは私たちの仲間です」ということを、ラテン系のレズビアンの人が強く宣言するシーンがあります。以下の予告編にも収められています。


 トークでも言いましたが、米国では、雇用差別禁止法案(Employment Non-Discrimination Act: ENDA)が問題となっていて、その法律で保護される対象をレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル(LGB)にするか、それともトランスジェンダーを含めてLGBTにするかで、もめています。以前は、「トランスジェンダーを含めると法案が通らない」などといって「まず、LGBの保護を」という声がLGBTのコミュニティー内部でも強かったみたいだけど、当然そういう意見はたくさんの批判を浴びて、状況が変わってきています。まず、以下は、2007年11月に米国下院でこの法案が「トランスジェンダーを含まない形で」可決したことを報道する日本語の記事です。

 この法案の可決に先立つこと3年、2004年に、米国大手のLGBT団体である「National Gay and Lesbian Task Force」のマット・フォアマン代表が「トランスジェンダーを含まない「性的少数者雇用差別禁止法案」は撤回せよ(邦訳)英語原文)」という声明を出しています。この声明は、ゲイの活動家であるこの代表が、トランスジェンダーの権利をないがしろにしてきた自分の間違いを認め、どこが間違っていたのかを明らかにした、なかなか読んでいて気分のいい声明でした。
 実はちょうどこの頃、私は、米国で開催された「第8回国際バイセクシュアリティ会議(バイコン)」に基調講演者として招かれ、西海岸で講演ツアーをしていました。その時にこのニュースを知ったのですが、すごいなと思ったのは、まさにこのバイコンの受付でこの声明について書かれた紙が配られ、トランスジェンダーを対等に扱っていないもう一つの大手の団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」に対して、その方針を変えるよう求める署名集めがされていたということでした。動きが素早いと思ったし、徹底している感じで、よかったです。
(ついでに言うと、この代表の声明は単なる言葉だけのものではないようで、この団体はその後トランスジェンダーの権利を擁護するために「トランスジェンダーを含めた『私たち』をつくる」ためにいろいろしているようです。自分のダメだった部分を分かった上で取り組んでいるはずなので、トランス当事者が一定の被害者意識を背景に厳しい言い方で追及するような感じではなく、幅広い見方というか余裕な感じで着実に仕事をしている感じがします。)

 さて、上記の記事にもある通り、2007年度のこの法案ははじめはトランスジェンダーを含む形で提案されたけれど、その後、ゲイ男性であるバーニー・フランク下院議員がトランスジェンダーを削除した法案を提出。それに対して、米国内の団体が、全国レベルのものから地域レベルのものまで300団体以上で、10月1日付で連名で声明を出しています。その声明では「私たちのコミュニティーの中の全ての人を保護する雇用差別禁止法を求める。私たちの中の誰かを置き去りにする代用品の法律には反対する」「私たちのコミュニティーの中の一部の者だけが保護と基本的な安全を享受でき、一部のものが取り残されるような法律には、反対する」などと明快に述べられています。この声明のページにずらっと並んだグループ名を見ていると、それが壮観だというのもありますが、実にたくさんのグループが米国では独自に活動しているんだということ、そしてそれをまとめるような全国組織があるんだということも分かって、楽しいです。

United opposition to sexual-orientation-only nondiscrimination legislation(性指向のみの反差別法に反対する共同声明 英語)

 こういった事が米国でず~っと議論になっているからこそ、2006年に創られた映画「男子であること」でも、「トランスジェンダーは私たちの仲間です」と極めて明確に冒頭で宣言している(のではないかと思われる)、という訳なのです。

これがその映像

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