海兵隊のフェンス越しに辺野古崎を望む

みてみぬふり、続けますか?

ちょうど1ヶ月前ですが、4月25日26日に開催された東京レインボープライド2015〜パレード&フェスタに参加してきました。カラフル連絡網に間借りする形で机を出して沖縄の新基地問題についてのチラシを配ったり、パレードには「天皇制社会日本に抵抗するクィア有志」名でのバナーを持って参加しました。

会場となった代々木公園で配付したチラシは、「TOKYO NO H8のメンバーだ」と名乗る人からの暴力的な配付妨害などもありましたが、持参した500部がほぼはける感じで、いろんな人といろんなお話も出来る、充実した行動となりました。

海兵隊のフェンス また、以前に関パレでやったハガキ作戦の東京版ということで、米国大使館オバマ大統領宛にポストカードを作成し、配付しました。このポストカードに、1人1人が自分でメッセージを書いて直接米国大使館ブースに持参するよう、呼びかけました。何人の方が直接米国大使館ブースに持って行ってくれたのか、分かりませんが、忘れている方は「ハガキ」としても出せますので、今からでもいいので是非出して下さいね!
textなお「東京レインボープライド2015〜パレード&フェスタ」に参加しての詳しい報告は、「ばらいろのウェブログ(はてなのブログ)」の方に書く予定です。もうしばらくお待ちください。
以下は、フェスタの会場となった代々木公園で配付したチラシに、チラシではスペースが足らなかったので掲載できなかった資料や画像などをつけ、テキストも少しだけ改定したものです。私自身、沖縄の問題にそこまで詳しいわけではありませんので、不十分な点などありましたら、ぜひ教えてください。よろしくお願いします。


みてみぬふり、続けますか?
沖縄に基地を押しつけているのは、誰ですか
「LGBTの人権」は、沖縄差別の方便ですか

みてみぬふり_表紙
フェスタ会場で配付したチラシ
(PDF 561KB 改訂版)
※A4サイズの紙に両面印刷して真ん中で二つ折りにして下さい。

 

「0.6に74」

日本における米軍専用施設の約74%が、土地面積で日本全体の0.6%でしかない沖縄県にあります。これを「0.6に74」と言い、現在でも既に、極端に沖縄に米軍基地が集中しています。そしてこの状況下で、他の都道府県にではなく、わざわざまた沖縄県に、しかも綺麗な海を埋め立てて、新しい米軍基地を日米両政府が作ろうとしている、というのが、辺野古の新基地建設問題です。

銃剣とブルドーザー

銃剣とブルドーザー
銃剣とブルドーザー

基地問題は、沖縄に基地が極端に集中しているという事実に留まらず、沖縄の米軍基地がどのようにして作られたかの歴史を踏まえる時、更にその不当性が明らかです。
翁長沖縄県知事は、4/17に安倍首相と会談したときに、以下のように言っています。

沖縄は自ら基地を提供したことは一度もございません。普天間飛行場もそれ以外の基地も戦後県民が(捕虜)収容所に収容されている間に、(土地が)接収された。または居住場所をはじめ銃剣とブルドーザーで強制接収され、基地造りがなされたわけであります。

「銃剣とブルドーザー」というのは沖縄の基地問題でよく言われる言葉の一つで、私も初めてこの言葉を聞いたときは、基地問題を訴えるために大げさに言っているんだと誤解をしました。しかし事実は、文字通りでした。
だからこそ、翁長さんはこう続けました。

自ら土地を奪っておきながら老朽化したから、世界一危険だから沖縄が負担しなさい。嫌なら代替案を出せと言われる。こんな理不尽なことはないと思います。

【資料】

沖縄の民意

沖縄の人達は、辺野古の新基地の建設に反対する意志を、選挙を通じて明確に示しています。(以下いずれも2014年)

  • 名護市長選挙(1月19日)では辺野古の新基地建設に反対する稲嶺進さんが約4000票差で再選。
  • 名護市議選挙(9月7日)では、定数27のうち辺野古への移設反対派が過半数の16人当選。
  • 沖縄県知事選挙(11月16日)では、新基地建設に反対する翁長さんが、新基地建設を受け入れた仲井真前知事に、約10万票差で当選。

翁長 雄志 360,820票
下地 幹郎 69,447票
仲井真弘多 261,076票
喜納 昌吉 7,821票

  • 衆議院議員選挙(12月14日)では、沖縄県内の全ての小選挙区で、新基地建設に反対する候補者が当選。自民党の候補者は小選挙区では全員落選(比例復活)。

加えて、1997年の、名護市における米軍のヘリポート基地建設の是非を問う住民投票を挙げれば十分でしょうか。

賛成2,562票、環境対策や経済効果が期待できるので賛成11,705票、
合計14,267票
反対16,254票、環境対策や経済効果が期待できないので反対385票、
合計16,639票

 もう8年も前から、基地建設反対が多数派であることは公的に示されていました。基地反対は、ここ最近だけの流行ではないのです。
「基地受け入れ派だってかなりいるじゃないか」ー確かにそうです。では、例えばですが、1999年に条件を付して普天間飛行場移設受け入れを表明した岸本建男名護市長(当時)がその時に何を言っていたか、ご存じでしょうか。

沖縄の米軍基地が、わが国の安全保障のうえで、あるいはアジア及び世界の平和維持のために不可欠であるというのであれば、基地の負担は日本国民が等しく引き受けるべきものであります。
しかし、どの県もそれをなす意志はなく、またそのための国民的合意は形成されず、米軍基地の国内分散移設の可能性は全くないというのが現状です。
このような状況で、沖縄県民が基地の移設先を自らの県内に求め、名護市民にその是非が問われていることについて、日本国民はこのことの重大さを十分に認識すべきであると考えるものであります。

普天間飛行場返還に伴う代替施設(ヘリコプター基地)等の受け入れについて 平成11年12月27日 名護市長 岸本建男

岸本市長の後任の島袋吉和名護市長(当時)も、同様に、以下のように述べています。

米軍基地が、わが国の安全保障、あるいはアジア及び世界の平和維持のため不可欠であるのであれば、基地の負担は日本国民が等しく受けるべきものであります。
しかしながらそのような国民的合意の形成が無く、また国内分散移転の可能性も無い中で、平成11年12月名護市は、沖縄県知事からの移設受け入れ要請に対し、苦渋の選択をしたものであり、これを誘致したものではありません。
(中略)
しかしながら昨今の新政権(政府)の状況は、苦渋の選択をしてきた地元住民の意向を無に帰すかのごとく、普天間飛行場移設問題そのものに対して、具体的方針が何ら示されないことは、誠に遺憾であると考えております。
私は、政府から、普天間飛行場の危険性がより早期に解決できる代替案が、速やかに提示されるのであれば、これを歓迎するものであり、普天間飛行場代替施設を誘致したものではないことを改めて表明するものであります。

普天間飛行場の移設に係る名護市の基本的考え方 平成 21 年 11 月 12 日 名護市長 島袋 吉和

基地受け入れ表明なのに、「基地容認派」なのに、内容としては、日本国民への告発や抗議です。ヤマト・日本人に対する発言としてみたとき、「こんな理不尽なことはない」と言う翁長現知事と、表現は違いますが言っていることは同じです。受け入れ容認派であってさえ、積極的な基地歓迎では決してないのです。
日本の今の政治の仕組みにおいて、住民が合法的にその意志を示そうとしたときに出来ることを、沖縄の人達は全てしています。新基地建設反対は、沖縄の明確な民意です。

日本人と日本政府による沖縄差別

そして逆に、ここまで明確に民意が選挙で示されている時に、沖縄以外のどこで、政府がその民意を無視することがあるでしょうか。
そもそもが、銃剣とブルドーザーで勝手に奪った土地に基地があります。0.6%の土地に74%の米軍専用施設が集中しているのが現在の沖縄です。圧倒的な新基地反対の民意を無視してまで、なぜ、あえてわざわざ【沖縄に】新しい基地を作ろうとするのでしょうか。
1903年、人類館で沖縄の人が「展示」されたのはなぜ? 沖縄の学校で方言札を下げさせられたのは? なぜ国内では沖縄でだけ地上戦があったのか。 なぜ沖縄人が日本軍に集団自決を迫られたのか。 1952年4月28日、講和条約での日本独立と引き替えに沖縄が米国に差し出された理由は? その時に切り捨てられた沖縄で、米軍がどのような支配をしていたのか。 1972年沖縄の日本復帰時に沖縄県選出議員にはなぜ発言の機会すら与えられなかったのか。 なぜ小学生が米兵に性暴力を受けるのか。 なぜ楚辺通信所(象の檻)は賃借契約が切れたあと1年間、日本国による不法占拠が許されたのか。 2004年沖国大での米軍ヘリ墜落事故の時、沖縄県警が米軍に締め出されて現場に近寄れなかったのは? オスプレイ配備に反対して2012年に普天間基地の全ゲートが座り込みで封鎖されたことや、「オスプレイ配備に反対する県民大会」人口140万人の沖縄で10万人参加の抗議集会があったことを本土の新聞はなぜ大きく報道しない? 沖縄県の全ての政党の代表と全ての首長と議会議長が署名した建白書をなぜ日本政府は無視できる?
米国国務省メア部長の「沖縄の人人はゆすりの名人である」発言や、沖縄防衛局の田中聡局長の辺野古移設についての「(女性に)これから犯す前に犯しますよと言いますか」発言など、数々の暴言の頻発はなぜ?
あといくつ、例を挙げればいいのでしょうか?
沖縄問題にそこまで詳しいわけでもない私が、少し調べて勉強するだけで、次から次へとこんな事例が出てくるのは、一体なぜなんでしょうか。

米国のピンクウォッシュ

米軍基地いらないパレスチナ人を殺しパレスチナへの侵略と占領と人権侵害を国策として今も続けるイスラエル政府が、セクマイ系イベントを支援することを通じて、自身がまるで「人権尊重の国」であるかのように演出することを批判して「ピンクウォッシュ」と言います(罪に汚れた姿をセクマイ色のピンクで洗い流すから)。公園に鍵をかけて追い出すなど野宿者への度重なる弾圧で有名な渋谷区が”同性パートナーシップ条例”を制定したことも「日本のピンクウォッシュ」と大きく批判されました。
オバマ政権になって、米国政府が明確にLGBTの人権を支持するようになり、米国大使館や領事館と関係を持ったり、大使館などでのパーティーに参加したり、そんなセクマイの活動家もかなりいます。ではその人たちは、米国大使や領事と会った時に、「米軍基地はいりません」「沖縄に新基地を作らないで」「イラク空爆は戦争犯罪だ」などとちゃんと伝えたでしょうか。イスラエルや渋谷区の「ピンクウォッシュ」に批判的な人でも、米国政府を直接批判する人が少ないように見えるのは、なぜでしょう。もし、LGBTの人権を支持をしているからと、米国政府の政策への批判が、結果的にでも躊躇・抑圧・禁止されているのなら、それは米国政府のピンクウォッシュが成功していることになります。
私は、オバマであれ誰であれ、政府機関がセクマイの人権を支持するのは「行政の本来業務」だと思いますし、いいことだと思います。そして「LGBTの人権を尊重する」と言うのなら、イラクの人の人権も、沖縄の人の人権も、パレスチナの人の人権も、同じように尊重されるべきーそう主張し政府に課していくために「LGBTの人権」を使っていくことが、必要なのではないでしょうか。
「LGBTの人権」が、沖縄の人やパレスチナの人、野宿者への人権侵害に目をつぶることと引き替えにもたらされるモノであるなら、そんなモノはいりません。「沖縄のセクマイ、パレスチナの、野宿者のセクマイ」を二重に差別するのではなく、沖縄の人やパレスチナ人や野宿者の人権も含めた、全ての人の人権を守るためのものに「LGBTの人権」がなるかどうかは、私たち1人1人にかかっています。

 

天皇制社会日本に抵抗するクィア有志 2015年4月25日発行
http://barairo.net/ hip(アット)barairo.net 090-1156-3039


参考資料

▼行政

▼運動団体

▼ピンクウォッシング

▼過去の取り組み

▼渋谷区


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