1998年10月10日に吉田寮食堂焼け跡において行われた野外ライブで、実行委員会が作成・配布したフリーペーパーに寄稿した文章。

ホモやオカマは決して「普通の人」ではありません!!

日比野 真(変態左翼活動屋)

 なよなよした仕草、闇夜にまぎれた公園や公衆便所でのセックス、どぎついオネエ言葉、淫乱旅館での乱交プレイ、スカートをはいたり化粧をした姿、開き直った男娼やショーパブでのお仕事、オカマの健さん(東郷健)-----ホモやオカマに貼られたイメージはこんなものだ。(レズ、といえば、レンタルビデオ屋の中にあるレズプレイや百合族ビデオのことか?)

 「ぼくはそんな変なホモなんかじゃない!別になよなよもしていないし、乱交もしたことないし、ちゃんとまともな会社で働いている、どこにでもいるごく普通の男の子なのに、どうして差別するんだ!」-----こういう主張で、男性同性愛者への差別を問題化し、男性同性愛者の権利を獲得しようとする人たちがいる。
 
 しかし私の友人には、ナヨナヨしたホモも、公園でセックスする人も、オネエを話すコも、スカートをはくオカマも、ウリ専でセックスという行為を売って働いている人も、いる。そして、私自身もこれらの項目のいくつかには該当する当事者でもある。

 どうして「私たち」の自由を主張するのに、「なよなよしていない」「淫乱でない」「普通の人」でなければならないのか。「男は男らしくしろ」「セックスは結婚相手だけとしかしないのが常識」「みんなと同じように合わせて生きよ」などといった窮屈な今の社会の「普通の人たちの常識」に屈服しない限り、「私たち」の自由は獲得できないのだろうか。

 たしかに、たった今あなたの隣で踊っているあの人が異性を好きであるかどうかは直接本人に聞かないと分からないハズなのに、異性が好きだと勝手に決めつけてそう思い込む、そんな人間達は今でもたくさん存在する。そういう頭の固い人たちに「同性愛者はあなたの隣にもいる(かもしれない)」ということを伝えるために、「同性愛者も普通の人、どこにでもいる人」という言い方は有効なのかもしれない。

 しかしそれでは、「なよなよした」「淫乱な」「普通でない」わたしたちはどうなってしまうのか。

 ホモやオカマが嫌われるのは、それらが既存のジェンダー秩序の外にあり、男女の性別2分法を生物学的にも性自認においても性役割においても性指向においても押しつける「ジェンダー・テロリズム」に逆らう人たちだからだ。ホモやオカマが嫌われるのは、それらが男か女かよく分からないからだ。ホモやオカマが嫌われるのは、それらが異常(=時代の多数派権力が生き延びるために恣意的に創り出した生け贄/スケープゴート)だからなのだ。「異常な私たち」が、異常なままで、堂々と今の社会の中に生きることが大切だ。決して「同性愛者は正常な普通な人だ」などと言ってはならない。そう言ってしまうことは私たち自身に対する最大の裏切りだ。正常化され毒抜きされた「普通の姿をした」同性愛者を社会が受け入れることが大事なのではない。私たちが生きる今の社会秩序---性別2分法と「男らしさ・女らしさ」の性別役割を押しつけ、ホモフォビア(同性関係嫌悪)で、強かんや暴力などの「男のわがまま」を黙認し、セックスを悪いことだと考える社会秩序を、変態で性的倒錯者でホモで異常でオカマな「私たち」こそが、堂々と解体しなくてはいけない。
 少数派である自分に自信を持て!共に闘かわん!

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(ライブ実のご厚意でライブフリーペーパーの中に日比野のコーナーを頂きました。このコーナーでは、特に、ホモフォビア(同性であるとみなされる人たちの間で親密な行為や関係を持つこと、に対する恐怖感や嫌悪感)、セックスワーカーの権利、強かんやセクハラを始めとする性暴力、男女という性別二元論に対する強固な信仰、などについては、重点的に取り扱っていきたいと思います。これらの事項は、いまだに多くの思い込みと誤解がわたし<たち>の中にもあり、国家による一方的な規範の押しつけや社会制度も黙認されており、しかも多くの左翼はこれらのことに関心がないかまともに扱えないために当事者が必要な支援さえ十分に受けられていない現実があるからです。
 まず、1人1人が話し始めることが大切です。だってみんな違うんですもの。ということで、読者の皆さんの投稿を大募集です。あなたの経験、あなたの意見、素朴な疑問や質問などをお送り下さい。ある程度の量になったら順次紹介していきます。また、このコーナーの感想も送って下さいね。(送られる場合は、本ページ掲載の可否、掲載時のペンネームを明記して下さい。宛先は上記日比野まで。)



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