「あなた、オカマ、嫌い?」
へのお誘い

(文責・ヒッピー)

 9月13-14日に大阪のドーンセンター「第2回男のフェスティバル」が開かれます。この機会に便乗して、ゲイ・フロント関西プロジェクトP(レズビアン?ゲイ?バイ?ヘテロ?......?生と性はなんでもありよ!の会 プロジェクトP)が共催で「あなた、オカマ、嫌い?」と題したパネルトークを行います。
(今年の男のフェスティバルには、他にも、「セクシュアリティーの名付け方」(メンズリブ東京セクシュアリティー部会)や「『ジェンダーくずし』のワークショップ」(P3)など、セクシュアリティー関連の企画があります)
 今回の企画は、「オカマ」とタイトルをたて、それぞれの立場からホモフォビア・トランスフォビアとどう闘うのかを話す中で、実りある豊かな「私たち」を形づくっていく可能性について考えることができればと思っています。その意味で、「ゲイによるゲイのための運動」「同性愛者の権利の獲得」に留まらない、様々なセクシュアリティーの人たちが共闘する可能性を探るイベントになる予定です。
 こぞってご参加ください。(部屋が狭いので早めに来た方がいいよ)

★企画の詳細

タイトル:「あなた、オカマ、嫌い?」
      ホモフォビア・トランスフォビアに対して「私たち」はどう闘っていけるのか
日時:1997年9月14日(日)午後2時
場所:大阪天満橋ドーンセンター(京阪・地下鉄の天満橋駅から徒歩5分)
主催:ゲイ・フロント関西とプロジェクトPとの共催
入場料:男のフェスティバル会場の入場料が1500円です。それとは別にこの企画用の資料代を若干頂きます。

内容:
 ゲイ、バイセクシュアル男性、トランスジェンダー......一口に「オカマ」と言っても様々な人がいます。傍目からは同じに見えるかもしれませんが、実はお互いの違いも大きく、利害関係も異なるかもしれません。
 今回の企画「あなた、オカマ、嫌い?」では、関西のグループでそれぞれの立場で活動を続ける5人のパネラーが、自らの経験をふまえつつ「ホモフォビア・トランスフォビアとどう闘うか」「自分にとって何が必要か」を語ります。お互いの間に確実に存在する不一致を認めた上で、不毛に対立するのではなく、実りある豊かな「私たち」を形づくっていく可能性について考えることができればと思っています。そして、こんな豊かさを創り出していくことこそが、ホモフォビア・トランスフォビアと闘っていくことなのではないでしょうか。
 なお、この企画では基本的な用語説明などには時間を配分しません。基本的な知識にあたるものを記した資料集を当日実費でお分けする予定ですので、そちらをご覧ください。

パネラー(予定・発言順)

打越幸雄(ゲイフロント関西)
はじめてのカミングアウト、その時の相手の反応、最初に“クリコ”(堂山のゲイクラブ)に行ったときの感動、アカー(動くゲイとレズビアンの会)、Yougikaiなどとのネットワーキング、関西でのサークルの動き、「ゲイ・フロント関西」の結成、わたしのゲイライフの10年間を振り返ります。

Johanna(ゲイフロント関西)
わたし自身はカミングアウトしていなかったこともあり、ゲイであるということで、周囲から目に見える差別は受けなかった。それよりも寧ろ、他のゲイと接触を持つようになって感じ始めた、ゲイ自身が持つホモフォビアが、私にとって心苦しいものであった。特に、所謂女っぽいゲイ等を指す「おネエ」に対する「おネエフォビア」とでもいうものの存在が、「おネエ」でもある私にとってショックでもあった。私が3年前に入会したゲイサークル「ゲイ・フロント関西」には、偶然、自分が「おネエ」であることに誇りを持っていると見受けられる人が多く、私にも「おネエフォビア」に立ち向かう勇気ができたような気がする。内在化されたホモフォビアも、ゲイが抱える大きな問題の一つではないであろうか。

森田真一(ゲイフロント関西トランスジェンダープロジェクト)
ゲイ・フロント関西の結成当時、全ての決議案からは「男性同性愛者」という言葉がすべて取り除かれ、男性同性愛者とMtFの両方を示すと考えられていた言葉「ゲイ」に置き換えられた。しかし最近、トランスジェンダー(TG)という新しい言葉が紹介され、同性愛者とはっきり区別されるようになった。1996年、「性転換」合法化の道が開かれることになって、これまでニューハーフやオナベ、アマチュア女装者、レズビアン/ゲイのコミュニティなどにバラバラに加わっていたTGは政治的/社会的に自立し連帯する必要に迫られた。ゲイ・フロント関西でTGの自助グループが発足したのも、もはや「ゲイ」という言葉で自分を語ることができなくなったからである。

日比野 真(プロジェクトP・ゲイフロント関西)
相手の性別にこそこだわるという点ではホモもヘテロも同じ事。だからこそ「バイセクシュアル(相手の性別はそんなに重要でない)」である私が欲しいのは、性別を過大に重視せずカテゴライズやアイデンティティーに収まりきらない1人1人の在り方をこそ大切にする個人やネットワーク。たかが同性のカップルごときで驚いたり、「みんな同じゲイだ」というところで安心したいといった自分が多数派の側でありたいという未練を捨て切れていない運動では、まだまだね。あなたは、常に、たった1人1人の少数者なの!もし万が一、オカマじゃなくてもね。

井上 裕(ゲイフロント関西トランスジェンダープロジェクト)
みなさんはじめまして、井上裕(ユタカ)です。僕はFTM・TGといわれるいわば女性から男性として生活している男性です。しかし“男はこうでなければならぬ”という概念からぬけだした、フリーな存在として生きています。“井上は井上”というのが僕のアイデンティティーです。今回はパネラーとして、いかにTGとして社会的に男性又女性として生きていくのに困難な面があるかというのを、社会の変革として皆さんと一緒に考えていきたいと思います。みんなのBetterLifeのために。


補足
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「メンズリブ」について、ヒッピーの独断による説明をしたいと思います。

★「メンズリブ」って知ってますか?

 つねに強く正しくあらねばならない、弱音を吐いてはならない、女性を所有してやっと一人前の男だ、などといった、男性が被るジェンダーの刷り込みは、確実に私たち男性を生きづらくさせています。男、特にヘテロの男の人は、常に自分の意志に関わりなく「強い男」としての社会的地位を押しつけられ(あてがわれ?選択して?)、実際にそういった「男」としての身ぶり(文化・ジェンダーロール)を部分的にしろ身につけ(させられて)てしまっている分、救われる余地がない!「ちょっと間違っちゃったみたいだ、ごめんね」「助けて、しんどいの」こういう一言が言えないからこそ「男」なのよ。ああ「強く正しくうっとうしい男たち」はなんてかわいそうなの。
 それにだいたい、そういった「強い男」が思わず何気なくしてしまうえらそうな振る舞いこそが女性やオカマを威圧し抑圧しているのよね。そんな人がしんどいとか救われたいとか虫が良すぎるわ。こんな反応を返されることも珍しくはありません。ああなんて孤立した「強く正しくうっとうしい男たち」。
 そして、これはもちろんヘテロの男の人に限ったことではありません。
 メンズリブというのは、こういった「男の生きづらさ」何とかしていこうとして始まった運動だと、わたくし日比野は思っています。

★ホモフォビアとの闘いは、はたして男性同性愛者だけの問題なのだろうか

 男が強く正しくあることが要請され、お互いが競い合うことになっている社会の中では、男達は仲良くしにくい。男同士で助け合ったり、仲良くしたり、スキンシップをしたり、親密な関係をもったり、セックスをしたりといったことは、社会にあてがわれる「男」の役割からはずれることだ。これは「ホモフォビア」ではないのか。
 性的指向の権利の確立によって男性同性愛者の生きやすい社会をつくろうという運動がある。しかしわたしはそれだけでなく、男のジェンダーを問題にして、男だって強く正しく男らしく生きる必要なないのだ、ということを訴えていきたい。そうやって、男性と(も)親密な関係を持ちたい人たちにとって生きやすい社会をつくっていきたいと思う。ホモフォビアによって抑圧されているのは、なにも同性愛者だけではない。ジェンダーの観点から「男らしさ」の抑圧を問題にすることによって、あらゆる性的指向の人たちが、対等に当事者としてホモフォビアと闘う可能性の1つが開けるのではないか、と思います。

★メンズリブ系のグループ

は全国にいくつかあります。まだ創生期だということもあって、メンズリブの定義から問題意識まで、内容は本当に様々です。関西のメンズリブグループ「メンズリブ研究会」にはゲイ・フロント関西スタッフの知人も参加しており、また「メンズリブ東京」の中には「セクシュアリティー部会」というのがありそのなかで同性愛も扱われています。

★バークレー1973年宣言(Barkeley Men's Center , 1973)


 最後にアメリカのメンズリブの資料です。いかにもヘテロの男の人が書いた文章ですが、それは彼の限界でしょう。

 ぼくたちは、不可能で抑圧的な男性像-強くて、寡黙で、冷静で、ハンサムで、非情緒的であり、成功しており、女の主人であり、他の男に対しては指導者であり、富を手にし、頭脳明晰、スポーツ万能、そして重々しさを持つ男-を達成しようと苦悩し、競争しあうことを望まない。
 ぼくたちは、社会から課せられた男の役割に合致した生き方をするように演技することは、男女関係においても社会関係においても、もうしたくない。ぼくたちは自らの感覚・感情・知性を閉じこめるのではなく、自然に経験し、それを表現したい。
 温かさと感受性、情緒、正直さを持って、他の男や女たちと人間的に結びつきたい。ぼくたちは、自己の周りにつくった壁を打ち壊すことによって他と感情・経験を共にし、男どうしの破壊的競争を終わりにし、女性と対等な関係をつくりたい。自分自身のためにも、他の男たちのためにも、また女たちのためにも、男自身が今、これらの失われていたものを回復し、男どうし互いに愛し、慈しみ、サポートすることが大切である。

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