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Home Page 緊急声明(コミュニケ)・第2号 (改訂第3版)
今しなければならないことは、移設を口実にして新規に米軍基地をわざわざ沖縄県に造成することではなく、いま沖縄にある米軍基地を整理・縮小・撤去することです。
* 本土に住む住民一人当たりの米軍基地面積は約0.7平米、沖縄住民のそれはその280倍の約198平米。数値は全て1997年現在。
日本(ヤマト)と沖縄との関係は、薩摩藩による琉球侵略以来約400年間にも渡って、日本による沖縄の侵略と植民地化の歴史でした。現在日本政府が進めている普天間米軍基地の返還を口実(又は取り引き)にした名護市辺野古沿岸域への基地強要は、その歴史に更なる過ちを1つ積み増しすることでしかありません。私が生きている時代における、日本政府による更なる侵略と植民地化に反対するという立場から、私は日本政府による基地の強要に強く抗議します。1997年に行われた名護市市民投票では、日本政府の膨大な介入にも関わらず米軍基地の受け入れを拒否する投票が市民の5割を越えるに至りました。それを意図的に無視して基地をごり押ししようというのは、民主主義を否定し、名護市民を愚弄侮蔑することに他なりません。日本政府は恥を知るべきです。
今回の基地強要は、普天間基地の返還(在沖縄米軍基地の整理縮小)を口実にして(又はそれと取引にして)話がはじめられています。
現在、日本の全面積の約0.6%でしかない沖縄県に在日米軍専用施設面積の約75%が集中しています。この現実に対して長年闘いを続けてきた沖縄の人たちの声を無視できなくなったために、普天間基地の移設が日米両政府の政治課題に載せられました。しかしこの移設先として沖縄県名護市を選ぶことは、現在沖縄住民一人当たりの基地面積が本土住民に比べて約280倍というあまりにも明らかな沖縄差別を解消するどころか、本土による沖縄侵略を開き直ってだめ押しすることでしかありません。沖縄県内に基地を新設するか、さもなければ普天間基地を始めとする在沖縄米軍基地はそのままだ、という二者択一を沖縄の人々に強いる日本政府のやり方こそが、従来と何の変わりもない沖縄差別に他なりません。そしてもちろん、日本政府がたった今も行っている沖縄に対する更なる侵略・植民地化を支えているのは、本土に住む「私たち」1人1人の無関心であり、そういった意識と生き方こそが沖縄に対する差別なのです。
沖縄の人たちは(代理署名を拒否した太田元知事や反対派住民だけでなく、自民党や財界など保守派に推されて当選した稲嶺現沖縄県知事でさえ)在沖縄米軍基地の整理縮小を求め、普天間基地の返還を要求しています。それは、あまりに正しい要求です。従って、選択肢は二つ、米軍基地を本土に(例えば京都市左京区に)移設して米国との現在のような軍事同盟関係を続けるか、米国との現在のような軍事同盟を解消することによって米軍基地そのものを日本からなくしていくか、です。私は私の生活圏内に米軍基地が移設されるのには賛成する意志がなく、迷わず後者を選択します。自分の家の周りに米軍基地がなく実害がないから無関心を決め込むというのは、沖縄にだけことさら過剰に米軍基地を押しつけている沖縄差別への加担以外ではあり得ません。従って、在沖縄米軍基地を撤去し、本土への米軍基地移設を阻止するためには、在日米軍基地の根拠法となっている日米安全保障条約という軍事条約を廃止することが必要です。
つけ加えるのなら、米軍のしたい放題を許している日米地位協定は、直ちに改めねばなりません。また、地域振興のための経済援助は決して基地と取引で恩恵的に与えられる筋合いのものではありません。琉球を侵略して搾取し沖縄を米国に売り渡し基地負担を沖縄に押しつけてきた日本は、これまでにさんざん沖縄を利用して利益を上げ収奪してきたのです。侵略者としての日本は沖縄に対して負債を抱えているのであり、「経済援助」は本当はその負債の返済であり当然の義務だと私は考えます。
沖縄の米軍基地が、わが国の安全保障のうえで、あるいはアジア及び世界の平和維持のために不可欠であるというのであれば、基地の負担は日本国民が等しく引き受けるべきものであります。
しかし、どの県もそれをなす意志はなく、またそのための国民的合意は形成されず、米軍基地の国内分散移設の可能性は全くないというのが現状です。
このような状況で、沖縄県民が基地の移設先を自らの県内に求め、名護市民にその是非が問われていることについて、日本国民はこのことの重大さを十分に認識すべきであると考えるものであります。
上の文章は、基地反対派の文章ではありません。基地を「容認」することを表明し、基地反対派にリコール請求さえされようとしている岸本建男名護市長が12月27日に発表した、基地の受け入れ容認声明の一部抜粋です。
仮に現名護市長が解職されて基地反対派が市長に就任し、名護市への基地強要が阻止されたとしても、それは現在ある普天間米軍基地がそのまま維持され、米軍は基地を返還しないでもよくなるということに過ぎません。基地移設反対、移設強要反対を言うだけでは、実は何も変わらないのです。
日米安保条約と日米地位協定の廃止による米軍基地の撤去、過去の侵略の歴史に対する自己批判・謝罪と賠償を伴う沖縄差別の解消、この2点を自分達の問題として要求してこなかったからこそ、今回の普天間基地移設を口実にした、沖縄県・名護市に対する米軍基地の更なる押しつけを「私たち」は許してしまっています。めっちゃくちゃ大変そうで実現可能性なんて考えられないのも正直言うと実感なんだけど、そういう帝国主義本国の多数派(マジョリティー)としての私の悠長さや甘さこそが沖縄における現在の過剰な基地の存在を支えていることを、私は今回の基地強要劇の観劇の中で突きつけられてしまいました。
日本政府が基地押しつけとセットで行おうとしている経済振興政策は基地抜きで行わなければならない。返還された土地の整備・地代補償・雇用確保は日米両政府の当然の義務。
ホームページで声明を発表すること自体は、たかだか単なるアリバイ作り程度にしかならない事は承知の上で、とりあえずここに私の態度を表明します。
1999.12.31(2000.2.6 改訂) 日比野 真
いくつかの資料はaml-ML(オルタナティブ運動情報メーリングリスト)からの転載です。