長居公園の野宿者やテント村の強制排除(強制代執行)に反対する要請書を、1月29日に大阪市長宛に郵便で送付し、同時に市長室秘書課宛にFAXしました。
もともとは私一人で出そうかと思っていた要請書なんですが、せっかくなので一緒に出す人はいないかなと思ってこのサイト他で少しだけ呼びかけをさせてもらいました。人数を集めることにはあまりこだわらなかったのと、「急いで出さなきゃ」と少し焦ってしまったため、私のサイトに載せてから24時間もない中で連名を締め切ってしまったのですが、結局9名の連名で出すことができました。
今日の報道によると、残念ながら強制代執行の予定日が2月5日(月)に決まったようです。締切後に要請書に賛成の意志を示してくれた方もおられますので、せっかくなので、引き続き2月4日(日)の24時まで、要請書に賛同される方を募集します(締切りました)。お名前を出しても構わないという方は、是非メールフォームでご連絡下さい。
なお、こういった意見はいろんな立場の人が自分の立ち位置から直接訴えて行く方が、一つの声明に人数をまとめるよりもいい場合もあります。ご自身で要請などをされる方は、以下の宛先にされるといいと思います。
●郵送
〒530-8201 大阪市北区中之島1-3-20 大阪市長 關 淳一
●TEL&FAX
Tel 06-6208-7231 Fax 06-6202-6950 (市長室秘書課)
●
要請書に賛同していただける場合には、2月4日(日)24時までに、以下の情報をひびのまでお送り下さい(専用のメールフォームを創りました)(締切りました)。1:大阪市に提出する要請書に記載する「名前」
必ずしも、法的書類上の名前である必要はありません。
(※法的書類上の名前とは違う名前で日常生活や社会生活を送っている人を想定してのものです。大阪市に提出するものですので、「誰のことか」をある程度特定できる名前でないと、あまり意味がないと思います。ーー2/3追記)
2:大阪市に提出する要請書に記載する「肩書きなど」
職業、身分、団体名、その他なにか短く付け足したいことがあれば。
例:大学生、○○大学文学部4回生、フリーター、○○の会参加者
大阪市民、活動家、オカマ、などなど
3:要請書は提出後にインターネットその他で一般公開し、著作権を放棄して誰でも転送転載可能な状態にする予定です。要請書は既に提出されていますので、どなたでもご自由にご利用下さい。転載転送を歓迎します。また、賛同人名も一般公開を予定していますので、お名前を一般公開することを望まれない場合には、必ずその旨をお書き添え下さい。●提出
・今回は事実上、強制排除の当日に抗議の意思を表明することになりますので、大阪市には、FAXの送付のみとします。
・要請書の本文に、賛同者名・肩書き(あればコメントも)などを付けて、2月5日早朝にFAXします。
以下が、大阪市に送付した要請書です。
・末尾に、連名した人の名前と、追加コメントが載っています。
・前回エントリーに掲載されていた要請書の誤字を直して、送付しました(誤:驚異 正:脅威)。
・PDFファイルでもダウンロードできるようにしました(約1MB)。
このページ及び要請書は、どなたでもご自由にお使い下さい。
要請書
大阪市長 關 淳一様
初めまして。
私たちは、性的マイノリティーの権利のために活動する個人です。
今回、大阪市が、長居公園テント村の強制排除をしようとしていることを知り、大きな危惧を抱き、本状を差し上げることにしました。
【性的マイノリティーに対する大阪市の方針】
關市長は、昨年10月に行われた「関西レインボーパレード」に際して、メッセージを寄せられました。そのメッセージで關市長は、多くの性的マイノリティーが「社会的な偏見」にさらされている事を認め、性的マイノリティーがパレードを通じて、個性を尊重し、多様性を認める社会を実現することを応援されました。
またパレード直前には、ダブルの部屋に男性が2人で宿泊するのを拒否した市内のホテルに対して、旅館業法(宿泊させる義務)違反にあたるとして、大阪市保健所が営業改善を指導するということもありました。
さらに、大阪市の創造都市戦略策定プロジェクトチームが昨年発表した「事業提案-中間報告資料」では、「本当に人にやさしいまち大阪」という項目があり、「行政が多様な人の生き方を積極的に認める姿勢を打ち出す」という目標の下、「多様な生き方に現在の法律が追いついていない様々な結婚の形態を行政の代表である市長が祝福することによって、市民のそれぞれの生き方の選択肢を積極的に行政が認めていく姿勢を示す」と明記されています。結婚にこだわる点では難があるとはいえ、性的マイノリティーを肯定する明確な方向性を感じることができます。
こういった大阪市の姿勢は、長く社会的な偏見にさらされてきた性的マイノリティーにとって、とても心強いものでした。法律を口実にして少数者を差別するのではなく、逆に法律の範囲を超えて人権を広げていく立場に行政が立つことは、とても素晴らしいことであると共に、行政が本来果たすべき役割でもあります。
行政の中には、例えば石原東京都知事が、オリンピック招致のため「新宿2丁目は美観とはいえないため、新たな条例を作り、規制をかけるつもりだ」などと述べている例もあります。性的マイノリティーが創り上げてきたコミュニティーや空間・文化を攻撃しようという首長もいる中で、大阪市の方針は、性的マイノリティーにとってのみならず、本当に多様な人々にとって魅力的なものなのです。
【野宿者に対しても想像力を】
しかし私たちは、性的マイノリティーに対しては想像力を持ち、人権擁護の立場から接していこうという大阪市が、長居公園の野宿者に対して、世界陸上大阪大会のために強制排除という方針で臨むということに、失望を感じざるを得ません。これではまるで、オリンピック招致のために新宿2丁目を規制しようという石原知事と同じではありませんか。
「多様な人の生き方」の中には野宿生活をする人は含まれないのでしょうか。「多様な生き方に現在の法律が追いついていない」という言葉は、そのまま野宿生活を強いられている人たちにもあてはまるのではないでしょうか。定職も定住する家もない状況に置かれた人たちが、自分たちの努力でやっと創り上げたコミュニティーである長居公園のテント村を、大阪市が敢えて強制排除するということは、「国際人権都市大阪」の名には相応しくありません。
万が一大阪市が強制排除に至るようなことがあれば、それは野宿者に対する社会的偏見の上にあぐらをかいた暴挙です。若者による野宿者襲撃が全国で問題になっていますが、強制排除は、法律を悪用して野宿者を襲撃することに他なりません。
【野宿は人ごとではない】
また、性的マイノリティーにとって、野宿は人ごとではありません。性別のあり方が典型的なそれとは異なっているということで、職場で差別を受けたり、不当に解雇されたり、もしくはそもそも雇用の段階で切られるということは、実に頻繁にあることです。典型的な男性や女性ではない人を、一体どんな職場が進んで受け入れてくれるのでしょう。残念ながら今の社会に於いては、性的マイノリティーであることで、安定した職に就けない人が沢山いるのです。
だからこそ、野宿者を強制排除するような大阪市の方針は、性的マイノリティーにとっても脅威だということを知ってください。それは、もしかすると明日の私たちに対して向けられるものであるかもしれないからです。
【要請】
私たちは、性的マイノリティーに対して人権尊重の立場から努力されている大阪市が、性的マイノリティーに対して思いを馳せているのと同じような態度で、野宿者に対しても接することを望みます。
もし本当に大阪市が性的マイノリティーの人権を守ろうと考えるのであれば、野宿者に対する社会的偏見とも闘うことが必要です。法律を口実にして野宿者を強制排除するのではなく、逆に法律の範囲を超えて野宿者の権利を広げていく立場に立つことが、大阪市には求められているのです。
私たちは、まず何より大阪市による野宿者の強制排除に反対し、長居公園テント村の存続を求めます。そして、野宿者を始めとする社会的マイノリティーを含む、全ての人に生きやすい政策をとられるよう、求めます。
お忙しいところとは思いますが、「本当に人にやさしいまち大阪」を創るためにこそ、ご検討いただきますよう、お願い申し上げます。
2007年1月29日
遠藤まめた(大学生 Rainbow Collegeメンバー)
河野なお(学生)
篠宮早苗(元大阪市在住者)
竹上 幸(学生)
Toppie!(ジェンダークィア活動者 / A-menace collective / 「持たざる者」の国際連帯行動)
ひびの まこと(京都★ヘンナニジイロ祭スタッフ / 関西クィア映画祭実行委員)
水上伸子(成人 選挙権あり)
他匿名2名
(50音順)
(※実際の要請書には9名の連名で出しました。ネット掲載時は、本人の意向により2名を匿名にしています。)
(追加意見)
障害者が、本人の収入に見合わない介護費を負担させられ(介護費を負担させることにも疑問はありますが)、世帯を同じくする家族の収入も本人の収入とみなし強引にセケンの「自立」に組み込むことは、障害者や、共に生きる人をとても生きにくくします。
母子家庭の生活保護が打ち切られることになりましたが、母子家庭で障害者と共に生きている人の生活はとても厳しいです。そのような生き辛い状況では、野宿というのは例外ではありません。他にも、自分の意志に反して様々な理由で野宿せざるを得ない障害者、や近しい人がいます。
私は障害者と共に生きる者で、幸いにも悪法である自立支援法の施行された現在でも生活できています。また、家族の障害認定(勝手に決めんな)も重度なため負担額も軽いです。が、このように制度によって分け隔てられ、障害者や、共に生きる人をも分断する制度に反対します。
その立場と、性的マイノリティーへの差別を反対する立場から、この要請書に署名しています。(河野なお)
●代表連絡先
(※実際の要請書には、ひびのの住所と電話番号、E-mailアドレスを記載しました。ネットでは省略します。)
【資料】
「創造都市戦略策定プロジェクトチームによる事業提案-中間報告資料-」(PDF:1,418KB)
http://www.city.osaka.jp/keieikikakushitsu/keieikikaku/toshi_team/pdf/data.pdf
このページの以下のコメント欄は、長居公園強制排除に関する各自の意見表明などに使ってくださいませ。
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