関西レインボーパレード2007

 先月10月の28日(日)に、第2回関西レインボーパレード(公式略称は「関パレ」です)が開催され、1326人が参加しました。パレード当日の映像があります。(ちなみに、忘れ物もあります)
 今年は、私も始めから実行委員会に参加しています。

いろんな意見の人が集まって創ったパレード

 今年のパレードは、昨年度と違い、実行委員会の立ち上げ時から、誰でも対等に参加できる形でスタートしました。その観点から、閉鎖的に立ち上げられた昨年度よりも良い創られ方をしている、と思います。
 ただ残念ながら、映画祭の準備などで忙しくて実行委員会の話し合いに私自身が十分に参加できなかった時期がありました。そのため、他の実行委員のひととちゃんと意見交換する時間が取れず、実行委員会としての決定事項には私自身には同意できないものもあります。ただこれは、私自身がちゃんと関わりきれなかった時期があったため、そういう時に「決定」が実行委員会で行われてしまったという面があるので、その後の実行委員会の会議の場とML上で一度明確に私の意見を述べただけで、それ以上しつこく問題提起することはしていません。
 実行委員会形式でものをつくるということは、いろんな意見の人が集まって来るということです。ですので、自分としては納得できない決定が実行委員会でされてしまう、実行委員会の決定の全部に同意している訳ではない、文句も不満もいろいろある、ということは、私だけではなく、わたし以外の実行委員の人にとってもそうなのではないかと思います。今後も、私も自分の思っていることを言っていきますし、みんなの意見も聞きたいと思います。そして実行委員だけではなく、パレードに参加した人にもどんどん意見を表に出して欲しいし、他の人の意見も聞いてもらって、意見を交わし合いながらいろいろ考えて、よりよい合意を作っていけたらと思います。

 なにしろ、組織的な場づくりなどやったことのない人達が実行委員会でも多数を占めています。意見の違う人と話し合うことに慣れていないし、自分とは違うセクシュアリティーの人と深く意見交換したのもパレードが初めて、というような人だっています。みんなで不慣れなところを抱えつつ、素人が集まって創っている手作りタイプの企画なので、実は内部的には問題や不十分点は山積です。というか、正直に言うと、よく実行委員会が崩壊せずパレードをやりきることができたものだと感慨深いものさえあります(苦笑)。
 逆に言うと、生まれたばかりの未熟なパレードですので、まだまだより良くなる余地が山ほどあります!だからこそ、もし今の関パレに何か問題があると感じられたら、ぜひ直接その声をお寄せ下さい(「途上だから見守って欲しい」なんて事はいいません)。むしろ話は逆です。声を寄せるだけでなく、ぜひ実行委員会にも参加してください!パレードのことを大事に思う人達1人1人が声を上げて積極的に行動してくれることで、パレードは年々より良くなっていくものだと思うからです。(実際、去年の閉鎖的なパレード運営のあり方に対して批判の声を上げたからこそ実行委員会は公開されました。また今年のパレードは昨年の反省を踏まえ、第1回のミーティングから「誰でも参加できる」オープンな形で開催されてきました。実際いろんな意見の人が実行委員会には来ていて、結構ハードな議論もしました。まず声を上げること。人の意見に耳を傾けること。そして自分でも参加し、意見の違う人達同士で根気強く話し合っていくこと。それが、パレードをよりよいものにして行くには大切です)

「参加注意事項」について

 実行委員会での決定事項のうち私が同意できないものというのは、具体的には、パレード参加者に対して呼びかけられている「参加注意事項」の内容の一部です。

ゴミの問題などがありますので、パレードルート周辺でのビラやリーフレット、フライヤーなどの手渡しによる配布はできません。

 私は、上記の「注意事項」に反対するために、実行委員会のMLに以下の趣旨内容のメールを流し、会議の場で同趣旨の意見を述べましたが、実行委員会内部での多数派を形成することができませんでした。そのため、最終的には上記「注意事項」がガイドブックやウェブサイトにも実行委員会の意志として掲載されています。

 私としては、そもそも街頭におけるビラの配布は市民としての重大な権利であり、実行委員会はその権利を制限する権限がそもそもないこと、実行委員会の「注意事項」はあくまで呼びかけやお願いでしかないこと、私自身は上記の「注意事項」に同意していないので従う意志がないこと(必要であると私が判断すれば、「注意事項」を公然と無視する意志があること)を実行委員会の会議の場で明らかにした上で、実行委員会に参加するというスタンスを取っています。

※こう↑書くとすごく険悪な雰囲気の実行委員会だったと誤解する人がいるかもしれませんので、しつこいけどちゃんと書いておきます。実行委員会ではお互いに礼儀を持って話し合い、意見が違ったあとも一緒に協力し合ってパレードを創ることができました。お互いの意見が違うのは当たり前です。だから議論になるのも当たり前です。だから話し合うんです。意見の違う人とも一緒に歩くということこそが、パレードの醍醐味です。

以下、パレード実行委員会MLに投稿した文章です。今年の記録とし、来年の参考にするために、掲載します。

●論点は二つの方向であります。
【1】不必要な参加注意事項は、書かない方が良いのではないか
【2】もっと「みんな」に取っていいパレードにするための提案事項を書いてみてはどうか

【1】不必要な参加注意事項は、書かない方が良いのではないか

・私は、パレードは、実行委員会のものではなく、パレード参加者のものだと考えています。
 実行委員会は、当日のパレード参加者のための下働きをする人達だ、と考えています。
 そのことは、「関西レインボーパレード実行委員会では、パレードに参加される方々に特定の行動を強制したり誘導したりすることなく、それぞれの方が、それぞれの主張を尊重して、誰もが楽しんで頂ける「ステージ」を提供したいと考えます」というこれまでの確認からも言えると思います。
 なので、実行委員会からパレード参加者に対しての指示や命令は、基本的にできないと私は思っています。
 実行委員会がパレード参加者にできるのは、提案やお願いだと思います。
 その意味で、「スタッフの指示には従ってください」という記述は、無い方がいいと思います。そもそもそんな権限はないし、そういう書き方をする事自体が、一般参加者に対して威圧感を与えてしまうからです。

・「パレードルート周辺でのビラやリーフレット、フライヤーなどの手渡しによる配布はできません」というのは、市民の基本的な権利を侵害するものなので、書くべきではないと思います。公道や街頭におけるビラの配布は市民の基本的な権利だからです。
 街頭におけるビラなどの配布を巡っては、街頭での表現行為をしようとする人と、それを制限したがる警察との間で、ずいぶんと争いがあります。いくつか訴訟にもなっているはずです。
【参考】
http://www2s.biglobe.ne.jp/~reijo/data/taiho/gaisen.html
 しかしいずれも、基本として押さえるべきは、行動や街頭におけるビラなどの配布は、表現の自由として最大限尊重されるべきものであって、どうしてもやむを得ない、現実的かつ具体的な弊害が存在する場合に限り、極めて例外的に制限される事もありうる、ということだと思います。(例えば、集団で道を通せんぼするような形で、もしくはビラを受け取らないと通れないような方法で、ビラ配布をするのは確かに実際の弊害があると思います)

・実はこういうパレードやデモ行進は、街頭の一般の人に対する表現行為なのですが、一般の通行人にとってはプラカードや街宣車の言葉だけでは何のパレード/デモなのか、分かり難いこともよくあります。そういった不十分点を補うために、例えば一般的なデモを開催するときに、デモの主催者がデモの趣旨を書いたビラをデモと併行して街頭で配布することは、よくあることですし、また一定の効果もあります。
 パレードの立場からも、「一体何のパレードなのか」ということをちゃんと街頭の人に示すためにも、例えばパンフレットを道行く人達に配布するということなどは、検討する価値はあると思います。また、パレード実行委員会としての配布物を作るとなると、内容の検討など大変かもしれませんので、実行委員会としての配布物は作らないで、参加者の好きに任せるという手もあります。
・もしどうしても何か書きたいのであれば、「一般の通行を著しく妨げるような形でのビラ等の配布はご遠慮下さい」くらいが現実的だと思いますが(つまり、企業等による組織的なビラ配布を念頭には置いている)、そういうことを明示すると今度は警察が嫌がるはずなので、結局余計なことは何も書かないのが一番だと私は思います。

・「もちろん、セクシュアルマイノリティに肯定的なものに限ります」という表記は、違和感があります。というのも、何が「セクシュアルマイノリティに肯定的なもの」かについては、「私たち」の間でも意見が分かれることが決して少なくないからです。
 例えば私は尾辻さんの政治手法に批判的ですし、昨年のパレードでもその旨を書いたビラを配布しましたが、一部の人にとってはこのビラは「セクシュアルマイノリティに肯定的なもの」には見えない可能性もあります。パレードのような大勢の人が集まる場所というのは、自分と意見や感じ方が同じ人たちが集まるだけではなく、自分とは感じ方や意見が違う人も集まる場所ですので、「自分にとっては、セクシュアルマイノリティにとって肯定的ではない、と思えるもの」にもパレードの場で出会う可能性があるんだということを念頭に置いてもらうためにも、「もちろん、セクシュアルマイノリティに肯定的なものに限ります」という注意書きはいらないと思いますが、いかが?

以下は、関パレサイトに載っている文章です。

関西レインボーパレード 注意事項
○列が止まらないよう、スムーズに進みましょう。できるだけ整列して、止まらないように進んでください。スタッフの指示に従ってください。
○車両の持ち込みはできません。個人による車での参加はできません。
○プラカードは各自で用意してください。実行委員会ではプラカードは準備していません。伝えたいメッセージがある場合は、各自で用意してください。もちろん、LGBT に肯定的なものに限ります。
○ゴミの問題などがありますので、パレードルート周辺でのビラやリーフレット、フライヤーなどの手渡しによる配布はできません。
○写真、ビデオ撮影の際は気を配りましょう。参加者の中には撮影されたくない人もいます。特定の個人を撮影する際には本人の許可をもらいましょう。
○パレードには写真撮影禁止ゾーンを設ける予定です。参加したいけれど、撮影は勘弁してほしいという人は、撮影禁止ゾーンへ(撮影されないことをお約束するものではありません。サングラスや帽子など、各自での準備も行ってください)
○御堂筋および市役所周辺では、市の条例により路上喫煙禁止区域となっており、パレード参加中は喫煙することが出来ません。違反者には1000円の罰金が課せられます。
詳しくは…http://www.city.osaka.jp/akanzukin/kinshichiku.html

※注意事項には「プラカードは各自で用意してください。実行委員会ではプラカードは準備していません」と書きましたが、その後実行委員会で話し合って、実行委員会として段ボールに白地の紙を貼った自分で書き込む式の無記入のプラカードを沢山用意しました。本当はこれに各自で好きなことを書いてもらって持ってもらえると良かったんだけど、アナウンス/宣伝が行き届いていないこともあって、ちょっと余ってしまったみたいです。残念!

もっと反省(笑)

 上記の他、今年の反省点は挙げればきりがないですが、私個人としては特に以下の点が気になっています。

  • ガイドブック・フロート・セレモニーの出し物・関連パーティーなどが、圧倒的にゲイ系・男子系に偏ってしまった。もちろん特にそれを意図した訳ではなく、ゲイ系だけを優遇した訳でもないのだけれど、「LGBTと看板を掲げていても、普通に企画を作ると、いつも結果的にゲイ男子系に偏ってしまう」という「いつもの事」をなぞってしまったのが、ちょっと悔しい。実行委員個人のレベルでは、いろんな試みが模索はされたんだけど、結局こうなってしまった。(例えば、関西クィア映画祭で「関パレ協賛上映会」をしたのも、いろんなセクシュアリティーの人がパレードにもいるんだよって事を、もっとみんなで考えたかったからです)
     ただ、今年は初めて「実行委員会フロート」を作ってみたり、それでさえ十分にスタッフを割けず一部の人に負担が行ったりと、かつかつの状態ではあったのも事実です。なので、今年の実行委員会としては、できる限り最善のことをしたとも思います。
     だからこそ、来年はもっともっと良いパレードにしたい、と欲を出します。誰か例えば「女子フロート」とか、「(ゲイミックスではなく)女子ミックスのアフターパーティー」とか、やらないかなぁ。積極的にやる気のある人がいたら、「実行委員会としてそれを応援する」というくらいの合意なら、多分作れると思うんだけど。是非是非!!
  • 実行委員会のありかた、意志決定の方法、どんなパレードをしたいか、といったことについて、実行委員会の会議の場で、もっとざっくばらんに話をできたら、もっと良かったなぁ。
  • 個人的には「トランスジェンダーの可視化」の意味とか、「トランスジェンダーにとってのパレード」についてとか、ちょっと考えたい感じです。性別違和感を持つ人と持たない人との間にある違いについて、トランス嫌悪や「トランスではない人の持つ特権」について、パレードの中で十分に共有されていた訳ではないと思うし、やっぱり「LGBの可視化」と「トランスジェンダーの可視化」では現状ではやや意味が違うのではないかと。
     実際、実行委員会にもパレード参加者にも、GIDやトランスジェンダーやニューハーフの人など結構沢山いたんだから、もう少しそういうテーマもなんとか前面に出したい感じです。
  • 車輌(トラック)の荷台に乗車して踊ったりすることについては、大阪府警が頑としてこれを認めませんでした。札幌のパレードでも、警察が「トラックから降りろ」と警告してきたのに現場で抗議をして荷台乗車を認めさせた歴史があるし、東京のパレードだってまず勝手に荷台にあがって踊り続ける人がいたからこそ、交渉を通じて警察に荷台乗車を公認させることができた訳で、やっぱりもっとみんなが勝手に荷台にあがったりして確信犯で荷台乗車を認めさせていく気概が必要だなと思います。神戸のパレードでも荷台の上で踊ることが公認されている訳で、日本のパレードで荷台乗車がないのは関パレだけ!なのです。(荷台乗車や警察への申請については8.5プレカリアート@アキバ反戦と抵抗の祭〈フェスタ〉2007反戦生活も参考に。)

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