プロジェクトPが東京都に出した要望書

アカーからの文案には「同性愛者」のことしか書かれていません。プロジェクトPはそれとは異なる立場で、要望書を書いてみました。読み比べてみてください。

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要望書

1997年 9月 18日
東京都知事    青島 幸男 様
東京都教育委員長  清水  司 様
東京都教育長   市川  正 様

レズビアン?ゲイ?バイ?ヘテロ?......?
生と性はなんでもありよ!の会 プロジェクトP

(--プロジェクトPの住所等は担当者引っ越しのため変更となり、削除しました--)
連絡担当者:日比野 真

 初めまして。突然の要望書ではありますが、なにとぞ最後までお読みください。

 私たちプロジェクトPは、京都の地でセクシュアリティーや生き方の多様性を訴えて活動しているグループです。これまでに、ゲイやレズビアンそしてバイセクシュアルの顕在化を主張する企画を行ったり、セックスワークや男のジェンダーの問題、おたくのことなどを考える集まりを開いたりしてきました。私たちプロジェクトPは、同性愛の問題、というより正確には同性愛に対する嫌悪(ホモフォビア)の問題を重点的な問題の1つとして扱っていますが、「同性愛者だけの団体」ではありません。プロジェクトPには異性愛者を自認する人も多く参加しています。
 私たちは、こういった活動を通じ多くの人々と出会い語り合ってきました。そうしていく中で、性の在り方(セクシュアリティー)は本当に人それぞれでありそれに優劣を付けることが間違いであることや、にもかかわらず今の社会の中では明確な男女の性別の二分法と男女の性役割が当然視されステレオタイプ化された異性愛がすべての人に対して押しつけられること、私たち自身も思わず自分の思い込みを他者に押しつけてしまいかねないこと(鈍感なのは何も一部の異性愛者だけではないこと)、などを学んできました。
 
 さて、本題です。
 1997年9月16日、東京高等裁判所は、「同性愛者団体」である動くゲイとレズビアンの会(アカー)が東京都の青年の家の利用をめぐって7年来争ってきた「府中青年の家裁判」で、東京都のアカーに対する利用拒否処分を違法とし、東京都に約17万円の賠償金を支払う事を命ずる判決を出しました。この判決はまた、「無関心であったり知識がないということは公権力の行使に当たる者として許されないことである」とも述べています。
 私たちはこの判決の趣旨に強く賛成します。この裁判は同性愛者の権利を公然と主張した日本でおそらくはじめての裁判であり、ゲイやレズビアン、バイセクシュアル男女などを始めとして、多様な性の在り方を求める異性愛者を含む日本中の多くの人たちが自分のこととして注目してきました。同性愛者の権利を認める方向で判決が出たことを、私たちはうれしく思います。
 今でも社会の中には異性愛者しかいないように思われたり、異性愛者だけが優遇されることがよくあります。この判決は、社会の在り方やルールの方をこそ、少数者としての同性愛者の存在を前提として作り替えていく必要性を指摘しているものだと思います。そしてそれは、同性愛者だけでなく、様々な性の在り方の存在が明らかになってきつつある現在において、本当に必要なことだと私たちは思います。例えば東京都の職員の中にも、教室の中や裁判所の中にも、もうすでに、ステレオタイプ化された異性愛の枠組みからはずれる人がいるのです。それは同性愛者であったり、トランスジェンダーであったり、列記すればきりがありません。様々な性の在り方を肯定的にとらえることが、いま必要なのです。
 そのような状況から考えて、「同性愛者である」ということを理由にして公共の施設の利用を拒否するなどということは、時代錯誤以外の何者でもありません。
 以上の理由により、私たちプロジェクトPは、東京都に対して以下のことを要望します。

  1. .「府中青年の家裁判」の東京高裁判決を受け入れ、最高裁判所への上告を断念してください。
  2. .1990年4月26日に教育委員会によって下された拒否決定を撤回し、アカーに対して直接謝罪した上で、異性愛者以外にも「青年の家」の門戸を開放してください。
  3. .「青少年に対する健全育成」のためにこそ、同性愛だけでなく様々な性の在り方を肯定的にとらえた性教育を積極的に行うよう、方針を改めてください。(そもそもこの「青少年」という言葉自体が既に、女性の存在を軽視しています。)
 以上。よろしくご検討いただきますよう、お願いいたします。
 (なお、参考のため、当会の発行物を同封いたします。)

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