第3回レズビアン・ゲイ・パレード 当日の様子

(これは、OLPニュースレターNO.21に田中玲子の文責で書かれた文章を日比野が追加・修正など手を加えたものです。この文章の文責は従って日比野にあります。文章の利用を快く許して頂いたOLPと田中玲子さんのご好意に感謝します。)

(参加人数:1257人 実行委員会発表)

9:00AM 代々木公園B地区集合
 最寄り駅の原宿駅をでると、いかにもパレードに来ました、という人がわんさかわんさかといる。眼があうとお互いにニヤッとしたりしていい雰囲気。
 田中と日比野が会場で、前日の実行委員会の報告を兼ねた、「プロジェクトP排除に抗議し『第三回レズビアン・ゲイ・パレード宣言(案)』の採択延期を提案する」ビラを撒く。また、日比野は、「わたしは誇り高きバイセクシュアル」と表紙に書かれたProject Press号外のパンフレットも配る。
 会場のあちこちでは、久しぶりの再会といった雰囲気の人や、おっかなびっくりででてきたような人、豪華ドラッグクイーンの人たち、若い人からおじさん・おばさんまで、雑多な、そしてのんびりとした雰囲気。
 南定四郎実行委員がステージの上でマイクを使って、「本日のデモ行進参加者の禁止事項」を繰り返しアナウンスする。内容は、デモ行進中の印刷物配布の禁止、Tバック・女性が胸を露出するなどの全裸に近い格好の禁止、デモ行進中のパフォーマンスで後退するのは禁止、などであった。「違反した者は排除します」とまで言って、かなり強硬な口調だった。しかし参加者はそれぞれ広場に散らばっていて、南さんの話していたステージの前の客席にはあまり人がおらず、話を聞いている人はまばらだった。はっきり言って、会場でこの発言は浮いていた。

10:00AM出発
コース:代々木公園B地区〜渋谷公園通り〜宮益坂上〜青山通り〜表参道〜神宮前〜原宿駅前〜代々木公園B地区(全三・七キロ)
各挺団に分かれて4列縦隊でデモ行進するよう実行委員会が呼びかけるが、パレード参加者はほとんどそれを無視する。
日曜の朝なので沿道に人が少ない。
昨年に比べ歩く距離が長く、ほかのパレード参加者を見てまわる余裕があった。フロートの数は昨年より圧倒的に少なく、風船をいっぱい付け「COME ON!」と書かれたゲイフロント関西のフロートはかなり目立っていた。第1回・第2回のパレードではとても派手に目立っていた「国際ビアン連盟」のグループは見あたらなかった。そのかわり、「DYKE MARCH」という黄色の横断幕のところにレズビアンを中心とした女性たちが集まり、グループを超えて一緒に歩いていたらしい。南定四郎実行委員の再三のアナウンスを無視して、全裸に近いTバックで堂々と歩いていた人も多かった。「デモ行進中のパフォーマンスで後退するのは禁止」などは完全に無視されていた。「いいことだ。(日比野・談)」
歩いていた人たちの先頭は、大きなレインボーフラッグを持って歩いていた「ニフティーサーブ・エイズフォーラム」の人たち。「『レズビアン・ゲイ・パレード』の先頭を歩いているのはバイだわ、オッホッホ!」などと冗談を日比野は言い合った。
全体的には、去年よりいくらか地味ではあったが、参加している人は総じて楽しそうで、解放された雰囲気があった。

11:30AM到着
田中と日比野が会場で続けてビラを撒く。

12:00PM〜 
第三回レズビアン・ゲイ・プライド集会開始

 小林広明運営本部長が「第三回レズビアン・ゲイ・パレード宣言(案)」を朗読。
その後、「拍手をもって採択をお願いします」の提案に、参加者から「異議あり」の声が多数あがる。
異議を唱えた参加者たちが壇上にあがり、発言がはじまる。
 壇上に上がった参加者たちの中から、話し合いをていねいにされないままでの「宣言(案)」のレズビアン・ゲイ・パレード(パレード参加者全体)名での採択は時期早尚であり、採択と政府への提出に関して延期と議論の提案がなされる。
 南定四郎実行委員が、「宣言(案)」の採択に異議を唱える参加者の発言を妨害するようにマイクで「パレード破壊者の扇動に乗るな!」と大声で何度も繰り返し続ける。
 突然、会場に流れていた音楽のボリュームが上がる。
 混乱の中で小林運営本部長がつまずき、転倒する。

参考資料
「会場から一斉に拍手が起こり、『第三回レズビアン・ゲイ・パレード宣言』は採択された。」(『「性解放」幻想の崩壊』南定四郎/「ADON#11月号」P8より引用)
「そして驚くべきことに、この「パレード宣言」に反対し、それを永久に闇に葬ろうとした人々は、なぜ反対なのか、パレード宣言のどこに異議があるのか、という自らの意見を一切言わなかった、という事実である。」「この『宣言』がいかに大きな意味を持っていたかということは、小林広明さんが宣言文を読み上げ、続いて拍手の嵐が続いた後に、一部の人達が壇上に駆け昇り、小林さんに暴行を働いたという事実によって確認することができる。(小林さんに暴行を加えたのは主としてOLPやラビリス・ダッシュといった団体のメンバーである)」
(『「差別されたい」人々』磯貝宏/「ADON#11月号」P11より引用)

 <この間、舞台下で磯貝宏実行委員によって、もも(OLP)に対して「レズのくせに」発言が行なわれる>

 司会(ILGA日本札幌ミーティング)によって「宣言(案)」の採択保留と、その後の参加者が自由に発言できるフリースピーチ後、集会最後に改めて採択を行なう旨発表される。

参考資料
司会「今、読み上げた宣言文の採択の可否は留保しておきたいと思います。その上で後半に各団体・個人のご発言の場は設けてありますので、そこでみなさんのご発言を自由に述べて頂くということでどうでしょうか?よろしいでしょうか?ですから、宣言については一応保留ということで採択の可否については最後に回すということでどうでしょうか?」(参加者によるビデオ記録よりテープ起こし)

 司会による2、3分間の休憩の宣言。

 しかし、何十分も集会は再会されず、待ちきれなくなった参加者たちが客席で自主的にミニ集会を始める。

<フリースピーチ登録のため、もも(OLP)が運営本部に行き、レズ発言のために登録しに来た旨を述べる。この時、磯貝宏実行委員は受け付け横におり最初レズ発言を否定するが「だって、あなたはレズでしょう?だから私はレズだからレズのくせにって言ったのよ!」と開き直る。また、登録の申出は、南定四郎実行委員によって拒否される。>

集会再開。

 浜中大輔パレード実行委員長挨拶。パレードについて、自分の思いを語る。(プロジェクトP排除問題、及び先の「宣言(案)」採択をめぐる出来事については一言も触れず)。

実行委員会加盟団体のスピーチ(部分掲載)

ILGA日本(南定四郎実行委員)
 パレード・リーフレットの「包括的反差別法」の提案を読み上げただけで、プロジェクトP排除問題、及び先の「宣言(案)」採択をめぐる出来事については一言も触れず。

ゲイフロント関西
 プロジェクトP排除問題、及び先の「宣言(案)」採択をめぐる出来事については一言も触れず。

OLP
 LUKAが前日8月24日の実行委員会における出来事の報告を行い、「宣言(案)」の採択に関する意見を表明。
 磯貝宏実行委員による「レズのくせに」発言がももによって明らかにされると同時に謝罪を要求。
 司会から、磯貝宏実行委員は不在だと伝えられる(実行委員会加盟団体のスピーチの最初の段階では、磯貝宏実行委員は舞台近くで集会に参加していたことがビデオ記録により判明している)。

フリー・スピーチ(一部抜粋)

田中玲子(実行委員・OLP)
 事実経過を説明し、前日8月24日の実行委員会における出来事と、「宣言(案)」の採択に関する意見を表明。「宣言(案)」の内容についてはさらなる議論の積み重ねを提案。参加者から多数の拍手を得る。

 司会によって「磯貝氏の『レズのくせに何しやがるのか』発言に関する運営本部の見解」が発表される。

司会「磯貝氏に対する謝罪要請というのがOLPの方々からありまして、それについてパレードの運営本部の方から見解が寄せられておりますので読み上げさせていただきます。

〈磯貝氏の「レズのくせに何しやがるのか」発言に関する運営本部の見解〉
 先程OLPの方々から集会開始後の混乱の中で磯貝氏が「レズのくせに何しやがるのか」という発言を行なったことに関する指摘そして糾弾がなされましたが、あの混乱のような公式の日程が中断した場面での発言は、いわば対等な関係の喧嘩であり、磯貝氏が実行委員であろうとなかろうと、実行委員会は何ら責任を負うものではありません。

というコメントですが、つまり彼の発言は個人の発言なので実行委員としては、何も責任をとる立場にはないという、そういうものですね。で、彼は今のところ、どうもいないようです。どこ行ったか分かりませんが。ということで、それだけ報告させていただきます。」(参加者によるビデオ記録よりテープ起こし)

Sin(OLP)
 先の運営本部の見解を受けて、遺憾を表わすコメントを述べる。

日比野 真(プロジェクトP)
 「レズのくせに」発言は実行委員会で扱うべきことを言明、プロジェクトP排除問題の説明、及び「宣言(案)」の内容と採択に関する意見の表明をバイセクシュアルの立場から行う。

武田美亜(実行委員)
 常任委員会内部での体験と経過を報告。
フリー・スピーチ半ばから運営本部スタッフの姿が次々と消え始める。
 
ギター演奏

 演奏後、閉会の知らせもなくフラッグが降ろされ、客席の椅子が片付けはじめられる。
 参加者数人が運営本部に問い合わせるが、浜中大輔実行委員長、磯貝宏実行委員、南定四郎実行委員を始めとする本部スタッフはほとんど不在。
会場に残る多数の参加者と小林運営本部長の間で、閉会と「宣言(案)」の採択をめぐる質疑応答が始まる。
 小林運営本部長は、はじめ、閉会を告知しなかったことについて司会のILGA日本札幌ミーティングに責任転嫁するが、のち、閉会宣言はしたと言い張り、参加者たちに向かって「聞こえなかったあなたたちが悪い」と発言。
 また、小林運営本部長は「(宣言案の)採択は保留のままです。従って、明日(26日)の政府への提出もありません。採択の可否と、それをパレード名でするか実行委員会名でするかは、実行委員会で決めます」と発言。そして、集会半ばで司会を通して、フリー・スピーチ後改めて採択を行なう旨が伝えられていたにもかかわらず、「(宣言案の採択を)今日するとは言っていません」と開き直る。
 最後には小林運営本部長は「私にはここで決める権限はない」と繰り返し続けるだけになったので、参加者の中からパレードに関する自由討論の提案があり、小林運営本部長は会場を後にする。
参加者のひとりから、パレード・スタッフによる「レズは聾唖以下」発言が明らかにされる。

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