以下は、大阪税関長からのお返事です。

阪総第802号

平成11年11月4日

異議申立人

 日比野 真殿

 

大阪税関長 花角和男(印)

 

決定書謄本の送付について

 

 平成11年8月18日付をもって提起された異議申立てについて決定したので、行政不服審査法第42条(第48条準用)の規定に基づき、別添のとおり決定書の謄本を送付します。

(添付物)

  決定書謄本 1通

 

 

 

決定書

 

異議申立人              

住所 (住所が変わったので記述を削除しました)

氏名及び年齢  日 比 野  真 32歳

 

 上記異議申立人から平成11年8月18日付をもって提起された関税定率法(以下「法」という。)第21条第3項の規定に基づく輸入禁制品該当通知に係る異議申立てについて、次のとおり決定する。

 

主文

本件異議申立てを棄却する。

不服の要旨

 大阪税関関西空港税関支署長は、異議申立人が関西国際空港からの入国に伴う税関検査を受けた際に所持していた外国製雑誌1冊(「MALE」と題する雑誌、以下「本件雑誌」という。)か法第21条第1項第4号に規定する「風俗を害すベき物品」に該当するものと認め、同条第3項の規定に基づき、平成11年6月19日付をもって輸入禁制品該当通知(該当通知書番号N一033号。以下「本件通知」という。)を行った。異議申立人は、「わいせつ」の定義及ぴ法第21条第1項第4号の「風俗を害すベき」の文言の意味か不明確であり、本件通知は違憲・違法な処分である。また、法的にわいせつ物の流通を規制することは憲法21条に規定される検閲に該当し違憲であり、法第21条第1項第4号を根拠として行われた本件通知も当然に違憲・違法・無効であると主張し、本件通知の取消し及ぴ本件雑誌の返還を求めている。

決定の理由

  1.  異議申立人は、「わいせつの定義」及び「風俗を害する」の意味が明らかでないと主張するが、「わいせつ」とは、昭和26年5月10日最高裁第一小法廷判決によれば、いたずらに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的差恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものとされる等刑法第175条の規定の解釈に関する判例の蓄積により明確にされており、また、「風俗を害する」の意味についても、昭和59年12月12日最高裁大法廷判決によれば、法21条1項3号(現4号)にいう「風俗を害すぺき書籍、図画」等との規定を合理的に解釈すれば、「風俗」とは専ら性的風俗を意味し、同規定により輸入禁止の対象とされるのはわいせつな書籍、図画等に限られるものということができ、このような限定的な解釈か可能である以上、同規定は、何ら明確性に欠けるものではないと示されていることから、異議申立人の主張は失当である。
  2.  本件雑誌には、男性の性器を鮮明に表現した写真か多数収録されており、わいせつ性を有するものと認められる。
     したがって、本件雑誌は、法第21条第1項第4号に規定する「風俗を害すべき物品」に該当すると認められる。
  3.  また、異議申立人は、法的にわいせつ物の流通を規制することは憲法第21条の検閲に該当し違憲であると主張するが、昭和59年12月12日最高裁大法廷判決によれば、税関検査は、関税徴収手続の一環として、これに付随して行われるもので、思想内容等の表現物に限らず、広く輸入される貨物及ぴ輸入される郵便物中の信書以外の物の全般を対象とし、(法21条1項)3号(現4号)物件についても、このような付随的手続の中で容易に判定し得る限りにおいて審査しようとするものにすきず、思想内容等それ自体を網羅的に審査し規制することを目的とするものではないとしており、(法21条1項)3号(現4号)物件に関する税関検査は、憲法21条2項にいう検閲には当たらないと示されていることから、この点についても、異議申立人の主張を認めることはできない。
  4.  以上のとおり、異議申立人の主張には理由が認められないので、行政不服審査法第47条第2項の規定に基づき、主文のとおり決定する。

 平成11年11月4日

大阪税関長 花角和男(印)


「不服申立てについて」

 この決定を経た後の処分になお不服があるときは、この決定かあったことを知った日の翌日から起算して1月以内に大蔵大臣(東京都千代田区霞か関3丁目1番1号)に対して審査請求をすることができます。

 

 

 

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