第3回レズビアン・ゲイ・パレード宣言(案)

第3回レズビアン・ゲイ・パレードは以下の通り宣言する。

 私たちは日本国内の同性愛者および性的少数者の団体と個人からなるものである。

 日本国憲法第14条にかかげる「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」という理念に基づき、我が国は戦後50年間に民主主義の原則に合った、社会的少数者と弱者の権利を擁護する制度をつくり、その侵害に対する厳しい制約を設けてきた。当然、そこには同性愛者および性的少数者の人権と社会参加の均等な機会の保障もふくまれねばならない。
 日本政府と地方自治体は日本国憲法第11条、第13条、第14条および国際人権規約と関連法を順守する義務があり、これに基づいて公的機関が同性愛者および性的少数者の権利を擁護し促進することを支援すべきである。しかし、日本政府および地方自治体の政策立案の過程で同性愛者および性的少数者の権利は全く議論されてこなかった。

 たとえば、

 など、同性愛者および性的少数者に対する不平等は、他の人びとが有する権利に比べて著しい差別を受けていることであるが、これらに対する検討はされてこなかった。
 日本政府は子どもサミット(ニューヨーク)、環境サミット(リオ)、世界人権会議(ウイーン)、人口会議(カイロ)、エイズサミット(パリ)、社会開発サミット(コペンハーゲン)、世界女性会議(北京)と国連主催の政府間会議に参加してきた。しかし、これらの会議で約束した行動から日本政府は同性愛者および性的少数者への政策を除外し続けている。

 以上の認識に基づいて、日本政府と地方自治体は以下のことに対して早急に対応することを全会一致で求めるものである。

  1. 同性愛者と性的少数者に対する政策立案に、その当事者を参加させること。
  2. 同性愛者および性的少数者に対するマスメディアの差別表現の事実を調査し、その改善を求めること。
  3. 社会生活のあらゆる側面において同性愛者および性的少数者の顕在化を阻害する障壁をなくするための啓発活動をすること。
  4. 学校における同性愛者および性的少数者に対する「イジメ」の実態を調査し、いかなる生徒も安心して登校出来るようにすること。
  5. 同性愛者および性的少数者に対する社会の意識調査をすること。
  6. 誰もが等しく医療を受ける権利を阻害している実態を調査し、その改善に努めること。
  7. 国際人権規約に基づくカウンターレポートで同性愛者および性的少数者に関する報告をすること。
  8. 国連会議の誓約に基づき、同性愛者および性的少数者への政策を実施すること。
 また、私たちは、日本国内の同性愛者および性的少数者の諸組織が以下の行動を起こすことを呼びかける。

  1. マスメディアの差別表現の事実を記録し、公表すること。
  2. 学校における「イジメ」の実態を記録し、公表すること。
  3. エイズ医療の状況改善のために当事者を支援すること。
  4. 個別に得た情報を公開し、相互協力による行動を起こすこと。
  5. 不公正に抗議し、政治的、経済的、社会的、文化的基本権を促進するための連帯ネットワークを強化すること。
  6. 国連人権委員会に報告書を送るための協議機関をつくること。
1996年8月25日
第3回レズビアン・ゲイ・パレード


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