(米国によるイラクへの公式な開戦にあたっての、わたしのビラ。市内何カ所かで配布しました。)
いま私たちが闘うべき相手はイラクのフセイン大統領ではない。いま私たちが支援するべき相手は米国ではない。
もし、いま、私たちが闘うということを選択するのであれば、毎日80人(年間3万人)が自殺する日本社会のあり方と闘うべきだ。自殺に追い込まれてしまっている人々をこそ、支援するべきだ。
闘いを挑み、変えるべき相手とは、民族衣装を着た在日朝鮮人が罵倒される社会のあり方であり、外国人の入居を断る不動産屋とこそ闘わなくてはいけない。
同じ仕事をしても女性は男性より賃金が安いのは仕方のないことなのか。サービス残業を強いてただ働きをさせる会社は仕方がないのか。野宿生活者が襲撃されるのは仕方ないのか。自衛隊員が戦場への出張/赴任を拒否できないのは仕方ないのか。米兵が沖縄の少女に性暴力をふるうのはやむを得ないのか。難民申請者を自殺未遂に追い込む西日本入国管理センターは?
性奴隷であった元従軍慰安婦たちに対して公式謝罪をしない日本政府の方針は? ストリッパーが仕事をすると逮捕されることは? 電車の中で毎日起きている痴漢は?
刑務所で被収容者が殺されることは? 同性を好きな人がカムアウトしにくいことは? 身体障害者が不妊手術を事実上強制されてきたことは? 男子学生だけが内定をもらえることは?
日本で生まれ日本で育ち日本語でものを考え日本語で会話し日本で生活するする在日朝鮮人に選挙権がないのはあたりまえ? ゲイコミュニティーでバイセクシュアルが対等に扱われないのは仕方がない?
在日米軍の80%が沖縄に集中していることは? 戦争に反対する集会などでで民族差別や性差別のことを持ち出すとうっとうしがられることがあるのはやむを得ないのか。
あなたは、上司や同僚をかばって会社のために口をつぐんでこなかったか。友達や仲間の犯す間違いに目をつぶってこなかったか。「仲間だから」と内輪の不正に知らんふりをする態度でいる人が、いったいどうやって小泉を批判できるのだろう。
いま私たちが闘うべき相手は、決してイラクのフセイン大統領ではない。
もし、いま、私たちが闘うということを選択するのであれば、まず何よりも先に、私たちの毎日の生活の中にあるたくさんの差別、理不尽な暴力、不公平な制度、強い者のわがまま、闘っても無駄だ/何も変わらないというあきらめと闘わなくてはならない。
たくさんの見て見ぬ振り、たくさんの「仕方がない」によって人を見殺しにしてきた自分自身の過去と向き合わなくてはいけない。
他者からの問いかけや表現を無視し、対話を試みようとせず、応答する事から逃げ続けてきた自分の過去と向き合わなくてはいけない。
自分自身が加担してきた/している過ちから目を背けたくなる自分自身のあり方とこそ、闘わなくてはならない。
このことをこそ、ブッシュや小泉に伝えよう。
このことをこそ、友人や同僚や家族に伝えよう。
そしてこのことを、私たち自身で身にしみて感じよう。
そして、いまここで、ともに、手を取り合おう。
本当に戦争に反対するために。
たったいまこの場所に「私たち」の生活の内部にもたくさんある差別や不当な暴力をなくし、本当に平和な社会を創るために。
私たち自身が自身の生き方を変え、つまり私たちの生きる社会全体が本当に変わるために。
イラク空爆に反対するだけでなく、本当に、様々な形の戦争を世界からなくすために。
西暦2003年3月20日
コロンブスの「新大陸発見」による侵略から511年
日本の朝鮮半島併合から93年、
メキシコのサパティスタの武装蜂起から9年、
松前藩に対するシャクシャインの蜂起から334年。
今日という日も、侵略と抵抗の長い歴史の中にある。
ひっぴぃ ♪♪(日比野 真)
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付記:このわたしのテキストを元に、エサマンさんが(無断で)ぱくったテキキスはここにあります。エサマン版バージョンアップですね。(ひびの)
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