Oaklandでは、サパティスタ民族解放軍のマルコス副司令官の声明を題材にしてお話をしました。
サパティスタとは、メヒコ(英語名でメキシコ)の先住民を主体とする組織です。1994年にメヒコと米国との間で「自由貿易協定」が発効するのに伴い、「自由貿易協定は先住民への死刑宣告だ」などと主張して武装蜂起をしました。
●サパティスタについて(日本語の解説)
--ひびのによる解説
--メキシコ先住民運動連帯関西グループ
--山崎カヲルさんのサイト
●サパティスタのサイト(英語+スペイン語)
メヒコにおいてサパティスタやマルコス副司令官の人気が高かったため、政府系のメディアが「マルコスはSan Franciscoにいたホモだ」などという宣伝を、もちろん悪口のつもりで流していました。それに対抗して、マルコスが出した声明です。
:ひびのによる声明の日本語訳:https://barairo.net/HIP/front/3rd/3rdindex.html
私は、この声明を「ティト野鳥とザ・グレート・カブキ」のライブの時に音楽に載せて読み上げて、唄にしていました。
私がこの声明を好きな理由は以下の通り。
(1)誰かが「ホモであるかどうか」は、ホモフォビアを持つ人にとっては「問題」だろうけど、「私たち」にとってはそんなことが何で問題なのかが分からない。この手の「ホモ疑惑」の悪口に対しては「Yes」と答えても「No」と答えても罠にはまるところを、うまく切り返している。ホモフォビア(同性関係嫌悪)が、他の社会的な問題と同列の問題、差別の問題であることを、分かりやすく事例を出して示している。
(2)一部のLGBT系活動家は「自分たち」のこと、というか正確には同性関係嫌悪(ホモフォビア)についてしか話題にしたり取り組まかったりする傾向がある。でも、クイアといってもいろんな人がいるし、ホモフォビア以外の問題もコミュニティー内部にもある。例えば民族差別や他の社会問題と同列に、たくさんある問題の中の一つとしてホモフォビアを取り扱っているのが、声明のいいところ。
(3)マルコスが自身のことを、「口を開き話し始めたマイノリティー」であると同時に「人の話を聞くべきマジョリティー」でもあるといっている。自分のことを一面的に「被害者」だと思いこみたがるマイノリティーへのメッセージも含まれている。「私たち」はときにマイノリティーであると同時に、時にマジョリティーになることもある。その両方のことを言っているのがいい。
(4)なにより私も、自分がホモネタを対外的に言い始めた時期、自分の言いたいことを言うことに精一杯で、周りのことが見えなくなっていた時期があった。特に自分のことを社会的な差別の被害者だと思っている時には、私たちは他人を無視しがちだ。マルコスの声明は、たとえ政府との戦争状態という厳しい状況下にあったとしても、私たちは広い視点をもって人の話に耳を傾けるべきだしまたそれは可能だ、という戒めとして、とてもいいと感じる。
そして当日もこんなことなどを話したら、私の言いたかったことは伝わったみたいな感触があって、そのことはうれしかった。YOUTH(若者)を対象としたセンターでの話だったので、是非(4)のようなことは言いたかったの。
その後、ISMに参加した話、パレスチナの話もしました。半数以上がISMのことは一応知っているようでした。レインボーフラッグ((性的少数者の多様性を表す旗。いろんな国で使われている。))だけでなくイスラエル国旗までもが掲げられていたテルアビブのパレードの話もできました。(ちなみにこの日はダーリーンも駆けつけてくれていました。私のドラァグショー、初めてみてもらったんですが、よかったと言ってくれました)
質疑応答も活発にできました。「自分はユダヤ系のアメリカ人((アイデンティティーの持ち方はいろいろあるので、正確にはこのように言ってくれていたかは不明。そこまで認知する余裕は当時の私にはなかったっす。))だ。自分のこととして責任を感じている。そして、自分はクイアなのだが、パレスチナでの活動は大丈夫か」とも聞かれたので、私がパレスチナに行く前の、ISMに参加登録をする時のメールの話をしました。私は、ISMに登録申し込みの時に「私はクイア系の活動家です。もしそちらにクイア系の活動家がいたらお話ししたいので、紹介して欲しい」と書いて送りました。もちろん英語ね。するとISMコーディネーターのパレスチナ人ジョージ・リシュマリさんから返事がありました。「申し訳ないのだが、『クイア』の意味が分からない。教えてくれないか」。それで私は、いろいろと説明するメールを送ったのでした。要するに、いろいろと不安があったら、あらかじめ直接現地の人とやりとりをして、それで決めたらいいのではないか、と答えました。
この日に頂いたカンパが確か合計で14ドル。ちょっとうれしかったです。
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